2010年05月02日

VS!3-2

さて、サバゲー第3部の2回目です。
新しい携帯からの投稿ですがキー配置が微妙に違っていて迷う迷う。
ま、ぼちぼち慣れていきますよー

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2010/05/02 携帯よりUP

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VS!3

物音をたてないように水城がそろそろと歩みを進める。
遠くで何やらざわつきがあり、誰かが戦闘を行ったのだろうと推測する。
ということは自分も誰かと遭遇するのはそう遠くないことか。
そんなことを考えていると。
不意に横の藪ががさがさと揺れた。
咄嗟に銃を構え、いつでも撃てるように体勢を整える。
直後、飛んでくるBB弾。
それをかわし、水城も藪に向かって発砲した。
だが、それは避けられたようで相手の反応はない。
「誰だ?」
「誰かと思えば水城さんでしたか」
藪を掻き分けて出ていたのは、水城にとっては一番遭遇したくない存在だった。
「山崎さん…」
ショツトガン型の銃を手に、山崎も呟く。
「どうですか、楽しんでますか?」
「楽しむも何も…その道のプロ連れてきただろう」
銃を構えたまま、水城が言う。
その言葉に山崎が分かりましたか、と肯定した。
「皆さん、それなりに腕が立ちそうでしたので適当な人選かと思われますが」
「…ふむ」
確かに、適当な人選だろう。
中途半端な人選では前の、そう初めてのゲームの時のような結果になっただろう。
それを考えれば山崎を非難することはできない。
「…まあいい、他の3人は鎖神たちに任せればいい」
「そうですね。水城さん、貴方の実力を知るいい機会です。遠慮なくやらせていただきます!」
「望むところだ!」
そう、同時に宣言し、発砲。
二人ともそれを軽くかわし、走り出す。
山崎の装備がショツトガンタイプだったため、驚異に感じていた水城だったがどうやらまとまった数の弾が発射されるのではなく単発だと知り、強気になる。
「単発なら!」
愛用のSOCOMを山崎に向け、水城が指摘する。
「単発、しかもリロードに時間がかかる装備をよく選択したな!」
「私はこれでないと」
「普段の銃猟で使い慣れていると?しかし猟とゲームは違うぞ」
そう言うと、そうですねと山崎も頷いて肯定する。
「でも水城さん、貴方相手にはいいハンデです」
「何?」
山崎の言葉に眉を寄せる水城。
こいつは何を言っているんだと一瞬、思う。
しかし目の前にいるのは実力が未知数の山崎。
呼んできたメンバーがその道のプロだということを考えれば。
咄嗟に、水城は横へ跳んだ。
つい先程まで水城が立っていた場所をBB弾がはしる。
横へ跳んだ体制のまま、水城が反撃した。
だがそんな、しっかり狙いを定めていない攻撃が山崎に当たるはずがない。
あっさりかわされ、再び激しい攻撃が降りかかる。
「やるな!」
攻撃をかわしながら水城が言う。
「普段の銃猟で慣れているだけじゃないな…やはりあんたもその道のプロだということか」
それなら今までの山崎の行動に納得がいく。
普段の自分達の喧嘩で銃を抜くことは珍しくない。
そのたび山崎が次こそは警察に通報するぞと脅していたが、普通なら通報されておかしくない状態なのである。
他の住人も通報しないのは住人も慣れているということもあるが山崎が管理人権限で通報するなと指示しているからもある。
こんなことができるのは、やはり山崎も一線に立ったことがある人間なのだと回りの状況も踏まえて判断できた。
だとすれば、山崎の実力とは一体。
激しく撃ち合い、相手の出方を窺う。
互いに、隙はない。
隙を見せれば負けるのは自分なのだと、二人とも理解していた。
していた、のだが。
水城の集中は鎖神からの無線で途切れた。
《山崎さん捕捉。もうちょっと引き付けて》
「…え?」
一瞬、水城の動きが止まる。
「隙を見せていいのですかっ!」
水城の隙を見逃さず、山崎が発砲。
ぎりぎりで回避し、水城は銃口を山崎に向け直した。
「山崎さん、勝ち目は互いにないかもな」
「何を、」
突然の水城の言葉に山崎が怪訝そうな顔をする。
「俺が負けても他のメンバーがあんたを倒す」
「負け惜しみですか?らしくない」
そう、山崎が返した直後。
「…っ!?」
彼が、額を押さえて回りを見る。
「私が、ヒットした…?」
そんな馬鹿な、と呟くところを見ると何が起こったのか把握しきれていないらしい。
何が起こったのか、先に把握したのは水城だった。
「鎖神か…」
「鎖神さん…ですか?」
山崎は鎖神がスナイパーであることを知らなかった。
そのため、事態の認識に時間がかかる。
「スナイパーですか…私もぬかりましたね」
銃を下ろし、嘆息ぎみに山崎が呟く。
「仕方ない、ヒットはヒットです。誰かの救出を待つことにしましょう」
水城に背を向け、山崎がひらひらと手を振る。
「ですが、鎖神さんの狙撃が全員に通用するとは限りませんよ」
「どういうことだ」
山崎の言葉に、水城が眉を寄せる。
「それはお楽しみということで」
意味ありげに言い、山崎は歩きだした。
「一体、何が…」
鎖神の狙撃が通用しないとはどういうことだ。
だが思い悩んでいても仕方ない。
山崎とは逆の方向に、水城も歩きだした。
とりあえずは確保されている水谷と天辻を救出するのが先だろう。
フラッグはそれからでいい。
とりあえずはと現在の状況を確認するとこちらは確保2人、山崎側も2人が確保されているという返事が返ってくる。
戦況は五分五分といったところか。
正直、勝てる感じがしない。
鎖神の狙撃がなければ負けていたのは自分の方だっただろう。
今回山崎に負けなかったのは運がよかったからにすぎない。
しかしここで負けるわけにはいかない。
負けないためにもまずは水谷と天辻の救出しなければ。
歩きながら、水城は今後の作戦を考えていた。

アルフレッドに続いて山崎もヒットさせたことで鎖神がふうと息をつく。
こちらも2人確保されているがこれで互角である。
そう、自分に言い聞かせるが胸を締め付けるような不安感は一体なんだろう。
まだ、何かがあるような気がしてならない。
アルフレッドと山崎の実力は何となく把握したがノエルと篁の実力が分からない。
ノエルに関しては水谷と戦闘すら行っていない。
篁はまだ誰も接触していない。
この2人の実力は一体。
スコープ越しにフィールドを探りながら鎖神は2人を探していた。
やがて、慎重に索敵しながら歩みを進める篁を発見する。
幸先がいい、今のうちに確保してしまおうと狙いを定める。
焦っては外して相手に自分の存在を知られてしまう。
ほんのわずかな隙を探し、レティクルを篁の眉間に合わせる。
そしてトリガーを引こうとしたその瞬間。
不意に、篁が頭を上げた。
スコープ越しに篁と目が合い、鎖神がどきっとする。
次の瞬間、彼はライフルを放り出して横に跳んだ。

直後、彼の顔ギリギリのところをBB弾が通りすぎる。
あと一瞬遅ければヒットしていたのは自分のほうだった。
しかも篁は全く狙いを定めることなく正確に自分の眉間を狙ってきた。
これはもしかすると自分より上かもしれない、と思う。
篁の実力の片鱗を見たような気がして鎖神はぶるっと武者震いした。
この相手には狙撃が通用しない。
そう察知し、ライフルをその場に置いてP90を手に取る。
篁がいたところまで走ると、彼はそこからそう遠くないところにいた。
「来ましたか」
「あんた、何者?あの距離を狙わずに狙撃するなんて信じられない」
互いに銃を向け合いながらそう言う。
「そちらこそ、私の攻撃をかわすとは大したものですね。驚きましたよ」
片手で持ったM60の銃口を鎖神から狙いを外してひらひらと振って見せながら篁が言う。
「まあいいでしょう、ここで確保させていただきます!」
「それはこっちの台詞!あんたはここで確保する!」
そう、宣言し2人は発砲。
互いに狙いは正確で、辛うじて回避したもののギリギリのところをBB弾がかすめていく。
数発撃ち合い、鎖神はため息をついた。
篁の実力は伊達ではない。
その道のプロではないかという予想はあったが、プロはプロでも実力は半端ない。
数発撃ち合っただけだったが鎖神は篁の実力を把握することができた。
その道のプロだけなら遅れを取ることはなかっただろう。
しかし、篁の実力は半端ない。
あっという間に追い込まれ、鎖神は降伏するかわずかな隙を狙うしかなくなっていた。
「…ちっ」
小さく舌打ちをし、鎖神はFive-seveNの銃口を下ろすべきかどうか躊躇した。
篁がM60の銃口を鎖神に向けたまま、降伏を促す。
「さあ、私の勝ちですよ」
「いや、勝負はまだ終わってない」
鎖神は諦めきれなかった。
こんなところで諦めていては普段の任務で生きていけない。
誰かが来るか、わずかな隙を待つか。
先ほどの通信で水城が天辻と水谷の救出に向かっていることは知っていた。
2人の救出が間に合えば。
暫く、睨み合いの状態が続く。
しびれを切らし、篁が数発発砲するもそれをぎりぎりで回避し、鎖神も撃ち返す。
「往生際が悪い」
呆れたように篁が呟くと鎖神も、
「すぐに諦めちゃこの仕事、やってらんない」
と返す。
なるほど、篁が呟き、鎖神を見る。
「往生際が悪くなければ生きていけないということですか…しかし!」
そう言いつつ篁が発砲。
それを回避し、鎖神は手近な物陰に飛び込んだ。
物陰から、どうしようと考える。
正攻法では勝ち目がない。
どう攻略するか。
今までの対戦相手なら隙も多く、何とか乗りきってこれたが篁相手にはそうはいかない。
明らかに格上の相手に無謀に突っ込むほど鎖神はバカではなかった。
しかし、どうすれば。
何らかの策を講じなければ。
これはいい訓練になったと、鎖神はにやりとした。
Hell-C最強の矛と言われる鎖神だったが戦闘経験に関してはそんなに多い方ではない。
むしろ元傭兵のメンバーの方が戦闘に関しての経験値は高い。
故に鎖神は元傭兵のメンバーとの模擬戦で負けたこともある。
それを考えれば今回も負けるのだろうか。
いや、ここで負ければHell-Cの名が泣く。
何とかして事態をひっくり返したかったが篁の装備はM60。
弾幕であぶり出されるのがオチである。
今なんとか確保した物陰もどこまでもつのやら。
暫しの沈黙。
痺れを切らした篁がM60を連射する。
張り巡らされる弾幕に動きを封じられ、鎖神は再び舌を打った。
この窮地をどのように乗りきればいいか。
そう、思案を巡らせていた鎖神のヘッドセットに水城からの通信が入る。
《天辻、水谷共に救出完了。援護は必要か?》
思っていたよりも素早い対応に、鎖神が正直に応える。
「できれば頼むよ。あぶり出されてなければね」
味方が来るならそれほど心強いことはない。
それに2人が救出されたというのなら自分がヒットされたとしてもなんとかなるだろう。
援護を待つか、相討ち覚悟で突っ込むか。
ほんの少し考え、鎖神は弾幕が途切れた隙をついて飛び出した。
即座に篁も応戦するが鎖神のP90に比べてごつくて重いM60は小回りが利かない。
その、わずかな隙を見せた篁にBB弾が吸い込まれていく。
「…しまった、ヒットです」
両手を挙げ申告する篁。
しかし同時に鎖神も手をあげていた。
「ごめん俺もヒット。救出頼むよ」
相討ち覚悟で突っ込んだため、鎖神もヒットしてしまったらしい。
無線の向こうから天辻の声が返ってくる。
《ヒットって、お前が落ちたら俺たち勝ち目がないぞ》
「そこはなんとか乗り切るなり俺を救出するなりして」
無茶言うな、と天辻の言葉が返ってくる。
《まあ努力はするが期待はするなよ》
「諒解」
待機ブースに向かいながら、鎖神はこれは負けたなと低い声で呟いた。

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結構いい勝負しているところで一区切り。
だけどいい勝負してるのってもしかして鎖神だけ?
鎖神がいなきゃこいつら崩壊だよなあ…
あとはノエルの実力とかも書かねば。

しかし山崎さんの人選酷すぎ。


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posted by 日向 夏樹 at 08:37| Comment(2) | VS! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「山菜取りに夢中のヒトダマ、空気読まずにうっかり迷い込むの巻」を是非ww
Posted by 天麒麟 at 2010年05月05日 00:47
ヒトダマ乱入www
それいいなぁ・・・覚えていたら入れてみようかなぁ・・・
Posted by 日向 at 2010年05月21日 19:19
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