2006年10月19日

ALICE 6

長い間放置してゴメンナサイ。
やっと続きを書くことができました。
これから暫くはALICEに専念したいと思っていますので地道に完成をお待ちください。

ていうか技研(本編用)ではへるま2とVP7が溜まってるんだよなぁ・・・

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2006/10/19 書き始め
2006/10/25 書き終わり

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6.交戦

『動くな!』
 何故かかぶった声と共に目の前に黒光りする銃口が突きつけられる。
 一瞬、それに怯むがすぐに気を取り直し、スネークは目の前の侵入者を見た。
 年の頃10代後半、ボディラインにフィットした黒い、恐らくスニーキング・スーツを身にまとった青年が迷うことなく銃を構えている。
 その様子からいつだったかの赤毛の新人(笑)ではないなと判断し、そのままの体勢で相手を睨み付ける。
 動けば撃たれるのはこちらの方。迂闊には動けない。
 それは向こうも同じだった。
 目の前に現れた歴戦練磨風の男性に、B/Bはこいつか、と心の中で呟いていた。
 もう一人の侵入者。
 恐らく、この男性に違いない。
 だが初めて見た顔なのにもかかわらず既視感があるのはどういうことだろう。
 どこかで見たことがある顔。しかし現実で見た記憶はない。
 それは―――
 ほんの数瞬。
 B/Bの表情が驚きのものへと変化した。
「―――ソリッド・スネーク?!」
「な―――」
 何故俺の名を、を言葉にする前に、スネークの視界の隅を白い物体がよぎった。
 そして次の瞬間、間の抜けた声が青年の後ろから響く。
「動かないでくださぁい!!」
「―――っ!」
 目の前の青年がスネークに気を取られている隙に、ヒトダマが回り込み、M4を突きつけたのだ。
 しかし、スネークが予想もしていなかった展開が目の前で起こった。
 全く唐突に、青年が動いたのだ。
「この、ぉっ!」
 前後から銃口を向けられているにもかかわらず、青年がヒトダマに後ろ回し蹴りを叩きこむ。
 ぽよん、とした感触の直後、ヒトダマが壁に叩きつけられて床に沈む。
 と、同時にスネークのM9が火を噴いた。
 が、それをわずかな動作でかわされ、排莢する間もなく手からM9を叩き落とされる。
「くっ!」
 咄嗟に、右大腿部のホルダーに収めていたSOCOMを抜こうとするが、それよりも先にスネークの眉間に銃口が突きつけられた。
「動くな」
 押し殺した声。
 圧倒的に不利な立場に追い込まれ、スネークはホルダーのSOCOMから手を離して肩をすくめてみせた。
「何が目的かは知らないけど、ソリッド・スネークのコスプレした挙句にメタルギアソリッドの真似事?ちょっとはできる人間かと思ったけど、大したことないし不愉快だね」
 殺意は大したことないが、不機嫌丸出しのその言葉にスネークの眉がわずかに寄る。
「それはお前も同じだろう?」
「俺は―――」
 俺はちゃんとした任務でここに来ている、と言いかけてB/Bは口を閉ざした。
 どこでモニターされているか分からない。こんなところで自分の目的をばらすようなことは絶対にできない。
 だが、スネークはその一瞬の躊躇にちゃんと気付いていた。
 素早くホルダーからSOCOMを抜き、突きつける。
「甘いな。その程度で動揺を見せていたらすぐに殺されるぞ」
「‥‥っ」
 銃口を外すことなく、青年がスネークを睨み付ける。
「しかし俺のコスプレ、だと?」
 やや焦燥気味の青年とは違い、余裕綽々でスネークが尋ねる。
「そういえばお前、俺の名を知っていたな」
「もしかして‥‥本物?」
 ああ、とスネークが小さく頷いた。
「嘘だ‥‥スネークはゲームの中の存在のはず‥‥」
「何?」
 今度はスネークが驚いたように呟いた。
 だが、よく考えてみればさっきこの青年は「メタルギアソリッドの真似事?」と言っていた。
 そしてそのタイトルは以前ヒトダマとNATがスネークの実家に潜入した際拾ったゲームと同じものである。
 つまり‥‥
「この世界がヒトダマの世界の可能性もある、か‥‥」
「ヒトダマって‥‥この巨大マシュマロ?」
 SOCOMの銃口を突きつけられているにもかかわらず、青年がスネークから銃口を外し、床に伸びているヒトダマの尻尾を掴んで持ち上げる。
「ほぎゃっ!」
「‥‥何これ?喋るぬいぐるみか何か?」
「ち、違いますよぅ‥‥」
 尻尾を掴んでぶら下げられ、ヒトダマが恨めしそうに青年を見る。
「お前、こんな奴を見たことあるか?」
 青年から敵意が消えたことを確認し、スネークは恐る恐る尋ねてみた。
「さあね。こんな奴見たことがない」
「‥‥そうか」
 一瞬、期待した自分が悪かった。
 あの謎の女性が自分に教えたコペルソーン・エンジンの座標コード。
 それは一体何のためだったのか。
 ヒトダマの世界の可能性だとして教えたのだろうか。
 それとも‥‥
「あんたがソリッド・スネークだとして聞くけど、」
 興味を失ったか、青年がヒトダマから手を離してスネークを見る。
「もしかしてこの施設で開発されているという兵器って‥‥」
 ああ、とスネークが頷く。
「メタルギアだ」
「‥‥そう、」
 やっぱり、と青年が呟く。
 と、その時二人の通信機が同時に鳴った。
 同時に回線を開く二人。
「どうした、NAT!」
《ごめんスネーク、一仕事できて暫くサポートできないよ》
「LUKE!」
《今、さっき君が言ってたシステム"NAT"と交戦状態に入った。暫くサポートができない》
『な―――』
 まさか、それぞれが連れてきたAI(もしくはそうだったもの)が戦闘に入るとは。
 半ば呆然とした面持ちで、二人は互いの顔を見合わせた。

◇◆◇  ◇◆◇


 電脳空間内。
 コペルソーン・エンジン経由で衛星を一つ掌握し、そこからさらにスネークが接続した端末を経由して施設のネットワークに侵入したNATはいくつかのファイルを開き、何か手がかりになるものはないかと探っていた。
「うーん‥‥」
 出てくる資料は大半がメタルギアとは無関係のもの。
 その中で気になる資料が一つ。
 この施設で開発されているメタルギアを動かすシステムらしきものだが、何か引っかかる。
「システム"ALICE"‥‥AIにしちゃなんか違和感あるし‥‥」
 メタルギアの自動走行システムに近いものだということは分かる。
 しかしAIにしては妙に生々しい。
 システム"ALICE"とは一体何なのか。
 だが、いつまでもそれを考えているほど時間がない。
 とりあえず後で詳しく調べよう、とNATはひとまずデータにブックマークを付け、次のデータに目を通し始めた。

 B/Bが接続した端末を経由して、LUKEが研究所のネットワークに侵入する。
 自分が普段間借りしている衛星が何者かにハッキングされた上に同じところに侵入されているためかなんとなく動きづらいがそれをいくつかのファイルの書き換えで改善し、周りのファイルをざっと見回すと。
「‥‥システム"NAT"‥‥システムというよりも君と同じくAIに近いものみたいだね」
 端末を操作して侵入者を洗っていたB/Bが即席で簡単なファイルを作り、LUKEに回してくる。
 それを確認して、LUKEはもしかして、と考えた。
 同じところをハッキングしているのである。
 どこかで接触することも、競合することも考えられる。
 接触したら‥‥
 そんな折、LUKEは一つのファイルを見つけた。
 ファイルに何やらブックマークらしきものが付いている。
「これは‥‥」
 ファイルを開き、内容を確認する。
「‥‥システム"ALICE"‥‥」
 ざっと目を通すと、どうやらこの施設で開発されている兵器を動かすシステムらしい。
 とりあえずその旨をB/Bに報告し、LUKEは続けてファイルに目を通し始めた。

 いくつかのファイルを見ていたNATの背筋にちりちりとした不思議な感触が走る。
 それがすぐに、自分が付けたブックマークの一つが開かれたということに気付く。
 誰かが端末を触ったのか。それとも何か別のものが―――
 そういえば間借りした衛星にも何かAIらしきものが搭載してあった。
 搭載というよりも、外部からアクセスしているような―――ちょうど自分が間借りしているのと同じように間借りしているような―――状態だったが、あまり気にしていなかった。
 ところが、反応を探るとブックマーク、それもシステム「ALICE」のファイルにアクセスしているなにかのコードはその間借りしているAIのものと酷似している。
(まさか‥‥)
 気になり、システム「ALICE」のファイルが格納されている場所に移動するNAT。
 そこで彼女は、見たこともないAIの姿を見た。
 純白に近い白髪。華奢な手足。
 この電脳空間で人間の姿を取れるということは人間としての思考がきちんと働いている高度なAIということか。
 一瞬、目の前のAIも「マスター」によって生み出されたものなのかとも思うが、今はそんなことを考えている暇もない。
 アラストルをペンダント形態から剣に変え、NATは目の前のAIに切っ先を向けた。
「俺が見つけたファイルに何やってんの」
 その言葉に、目の前のAIは動じる気配もない。
 ゆっくりと振り返り、彼は不敵な笑みを口元に浮かべた。
「君がシステム"NAT"か‥‥」
「な‥‥」
 俺のこと知ってんの?とNATが一瞬怯んだような様子を見せる。
 そのわずかな隙に、目の前のAIも周囲のデータの断片を収束させ、剣の形状にして握り締めた。
「俺はLUKE。見ての通り、AIだよ」
「そんな‥‥」
 信じられない。
 簡単な言葉のやり取りだったが、確信めいたものがあった。
 目の前のAIには、自我がある。
 そもそもこの世界の技術力で、自我のあるAIを生み出せるとは思っていなかった。
 だがそれは甘かったということか。
「なんで‥‥俺がブックマークしたデータいじってんの?」
 アラストルの切っ先を突き付けたまま、NATが尋ねる。
「なんでって、データ収集に決まってる」
「それはこっちも同じことだよ。どうして邪魔すんの」
「邪魔も何も‥‥もしかして目的が同じなのかもね」
 顔色一つ変えない彼に、NATがきり、と歯軋りした。
「目的が同じだとしても、邪魔なんだよ」
「じゃあどうする?やる気?」
 データを収束させた剣を構え、LUKEがにやりと笑う。
 その笑い顔が火蓋を切って落とした。
 NATのアラストルと、LUKEの剣がぶつかり、激しく火花を散らす。
「っ!」
 LUKEの一撃を受け流し、NATがアラストルを二閃、三閃させる。
 それを軽く受け流し、LUKEが片手にデータ片を収束させた。
(まずっ!)
 咄嗟に後ろに飛び、NATも周囲のデータ片を収束させる。
 直後、NATに向かって漆黒の闇が襲いかかった。
 それと同時にNATの手から閃光が放たれる。
 光と闇が、二人の間でぶつかり、一瞬の鬩ぎ合いの後、霧散する。
「ふうん、ただのAIって訳じゃないんだ」
 面白そうに、LUKEが言う。
「今のは‥‥」
 信じられない、といった面持ちでNATがLUKEを見た。
「魔の闇‥‥」
「へえ、魔の闇って言うんだ、今の技」
 闇を放ったその手を見ながら、LUKEが呟く。
「でも君の技も属性は違えど同じ系統の技だね」
 LUKEもNATも互いに気付いていた。
 いや、NATはもともと分かっていた。
「なんで君がその技使えるわけ?まさか君も"マスター"に作り出された‥‥?」
 信じられない。
 そもそも自分が放った技―――「神の光」―――と同系統の技、「魔の闇」は確かに正反対の属性の技として最強の威力を誇る。
 しかしその技を作り出したのは自分が呼ぶところの「マスター」であり、NATはその技を組み込まれることはなかったのである。
 その「魔の闇」を放つなど、「マスター」がLUKEにこの技を伝授したとでも言うのか。
「"マスター"?そんなの知らないさ」
 NATとは逆に余裕の笑みを浮かべ、LUKEが口を開く。
「俺はたまたまこの技を見つけただけ。」
「そんな‥‥」
 呆然と、NATが呟いた。
 信じられないとしか言えない。
 たまたま見つけたからといって、この技が誰にでも使える物ではないということはNATが一番よく知っている。
 それなのに易々と使いこなしているとは。
 考える暇はないと分かっているが、このLUKEという存在は一体何者なのかと考えてしまう。
「俺のこと構ってる暇、あるの?君は君で調べることがあるんじゃないの?」
 剣を構えなおし、LUKEが言う。
「俺のことは構わないというのなら見逃してもいい」
「何を‥‥!」
 「魔の闇」を使う時点で危険なことには変わりない。
 「神の光」も「魔の闇」も同じ系統だから分かる。
 この技を使うことで重要なファイルが損失したり、破損したりすれば自分もLUKEも元の場所に帰れなくなる可能性がある。
 スネークのサポートをすることは確かに最重要事項かもしれない。
 しかし「魔の闇」を撃てるLUKEも放っておけない。
 アラストルを構えなおし、NATは改めてLUKEを見た。
「確かに俺はスネークのサポートをしなきゃならないけど、それよりもLUKE、あんたを野放しにしておくほうが危険なの。俺の邪魔しないで」
「‥‥言っても聞かない、ってか」
 やれやれ、とLUKEが肩をすくめる。
 そして、鋭い視線でNATを見た。
「じゃあ、どっちが正しいのか、決めようじゃない!」
 そう言うと、LUKEはNATに向かって猛スピードで移動した。

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なんかNATもLUKEもお前らバカだろとつっこみたい。

さて、暫く現実世界サイドの話のみになりそうです。


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posted by 日向 夏樹 at 23:37| Comment(0) | ALICE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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