2006年11月10日

ALICE 8

昨日の夜UPするとか言いながら遅くなりました。
なんつーか、色々盛り込んでいたら・・・えへへ。
微妙にMGS2の某シーンを彷彿させるように書いてみたりもしました。

・・・これからどうなるのかなぁ・・・

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2006/11/10 書き始め
2006/11/16 書き終わり

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8.思惑ばかりの協定

 うまく追っ手を撒き、開いていた部屋に飛び込んだ3人はドアに鍵を掛け、ふうと息をついた。
 その中でB/Bがドアに背をつけ、外の様子を警戒しながらスネークの姿をまじまじと見る。
「‥‥本当に、ソリッド・スネークなの?」
 先程にも出した質問だったが、まだ信じられない。
 スネークが返事の代わりに肩をすくめてみせた。
「‥‥でも、どうやって?というかスネークはゲーム上の存在じゃなかったの?」
「その答えはお前も知ってるんじゃないのか?」
 この青年がメタルギアソリッドをプレイし、なおかつ自分のファンだとしたら。
 その答えは既に見つけているはずである。
 ご都合主義という最も安易で簡単な答えが。
 わずかな沈黙。
 思考をフル回転させていただろうB/Bが、あ、と声を上げた。
「まさか‥‥コペルソーン・エンジン」
「正解だ」
「私たちはぁ、そのコペルソーン・エンジンを使ってこの世界に来たんですぅ」
 一言しか答えなかったスネークの代わりに、ヒトダマがおぶおぶと手を振りながら解説する。
 それになるほどね、と答えてB/Bがため息をついた。
「つまり、スネークたちはコペルソーン・エンジンを使ってこの世界に来た‥‥ということは少なくとも『ソリッド・スネークが実在した』という平行世界が存在するってことか」
 確かに、平行世界は無数の可能世界から成り立つパラレルワールドだもんね、と一人納得するB/B。
 そしてその平行世界が存在するが故にこの世界でメタルギアが開発され、必然的にスネークが来ることになった、ということか。
 にわかには信じがたいが、だからといって放置しておくほどスネークはどうでもいい存在ではない。
 それにメタルギアが現実に開発されているというのなら、スネークがいる方が心強い。
「しかしこいつの世界かもしれないと思って来てみれば、メタルギアとはな」
 ぽんぽんとヒトダマの頭を叩きながら、スネークが呟いた。
「ヒトダマ‥‥だっけ?さっきから気になってたんだけどさ、そいつってシリーズのどれに登場してたの?一応全作プレイした自信はあるけど、そんなの見たことがない」
「私は〜ゲームの登場人物じゃないですぅ」
 もしかして登場人物だと思ってましたぁ?と間の抜けた声で聞かれ、うんと頷くB/B。
 ここに来るまで、ずっと考えていたのである。
 なのにここに来て違う、とは。
 しかし登場人物ではないというのにどうしてスネークと共に行動しているのか。
 考え込んだB/Bに、スネークが親切に説明する。
「こいつはひょんなことで別の平行世界から俺の世界に転がり込んできた。で、こいつがいた世界を探している最中だ」
「で、たまたまこの世界にたどり着いたと?」
「たまたまというか、必然的に、だがな」
 謎の女性にこの世界のパスコードを教わった、ということまでは明かす必要はないと判断し、スネークが簡単に答える。
 そっか、とB/Bが頷いた。
「とにかく、スネークが実在するって分かっただけでもいいよ」
「いいのか?」
「だって、伝説の男が目の前にいるってだけで十分だよ」
 どういう理屈だ、とスネークが呆れたように呟き、懐から煙草を取り出す。
 パックから1本抜いて銜え、B/Bに向けて差し出した。
「吸うか?」
「ありがたく吸わせてもらうよ」
「言ってから聞くが、未成年じゃないだろうな」
 外見は10代後半のB/B。さすがのスネークも未成年者には吸わせるつもりはないらしい。
 大丈夫だよ、と1本受け取ってからB/Bが答えた。
「こう見えて実年齢は20代だから」
 差し出されたライターの火に顔を近づけて煙草に火をつけ、B/Bがにやりと笑ってみせる。
 それならいいが‥‥と呟き、スネークも紫煙を燻らせた。
「しかし、日本でメタルギア、とはな」
「非核三原則はどうなったのですかぁ?」
 何も、核搭載二足歩行戦車がメタルギアという訳ではないというのは分かっている。
 あのメタルギアRAYは「メタルギアに対抗するためのメタルギア」をコンセプトとして開発されているくらいである。
 だが、ここで開発されているメタルギアはそんな生温いものではないだろう。
 しかし日本には非核三原則があるはず。
 それが、ヒトダマの疑問になったようである。
 ふう、と煙を吐き出してB/Bがその疑問に答える。
「ヒトダマの世界の日本ではどうか分からないけどさ。この世界の日本には、非核三原則なんて存在しないよ」
「ほぇ?」
 どういうことだと、ヒトダマが首(?)を傾げてみせる。
 このヒトダマ、どこが首だか体だか。
 そんなことを疑問に思いながら、B/Bは続けた。
「今の総理大臣になってからね。日本は非核三原則を放棄して核保有国になったの。危険な隣の国に対する、まぁカウンターだけどね」
「そうなんですかぁ‥‥」
 自分の世界ではそんなに切迫した様子はないが、「危険な隣の国」と言えばあの国のことだろう。
 この世界ではそんなにも危険なのだろうか。
「日本海に向けてミサイル撃ちまくった挙句核実験だからね。それに経済支援をしないと本気で撃つとか言ってきてる。数年前のイラクみたいにアメリカが攻撃しないのが不思議だね」
 ま、そんなことを言ってもあの国はがたがただし、もうすぐヘッドも変わるだろうけどというB/Bの言葉に、ただただ「大変ですねぇ」という相槌とため息しか返せないヒトダマ。
 そんなバックグラウンドなら、メタルギアが開発されてもおかしくないだろう。
 だが、だからといってメタルギアの開発を許すわけにはいかない。
 で、とB/Bが続けた。
「で、スネークはどうするわけ?メタルギアを破壊するの?」
「ああ、バックグラウンドがどうであれ、メタルギアを開発させるわけにはいかない」
 答えてから、スネークはお前は?と尋ねた。
「俺はこの施設で開発されている兵器を調べて来いって言われただけだからね。まさかメタルギアだとも思ってなかったし」
 そう言ってから、B/Bはでもと続けた。
「でも、スネークはここで開発されているメタルギアの詳細とか、工場とか分かってるの?」
「いや、メタルギアということしか知らない。詳しくはNATが調べてくれるはずだったが‥‥」
「NAT?NATって、さっき俺が立ち寄った部屋の端末にシステム"NAT"のプログラムが稼動してたけど、まさかそれ?」
 そういえばさっきもスネーク、呼んでたよねと確認すると、スネークがああ、と頷いた。
「お前が持ってきたAIと戦ってるあいつだよ」
「‥‥」
 思わず、黙り込む。
 よりにもよって、自分たちが連れてきたAI同士が戦闘をはじめるとは。
「なんとか説得して止めたいんだけどね‥‥」
「言って聞くような奴じゃないからな‥‥」
 はあ、と同時にため息を付く二人。
「結局、自分たちで調べろってことか‥‥」
「そうだな」
 そう答えると、スネークは携帯灰皿を取り出して短くなった煙草を押し込んだ。
「まずは調査からだ」
「そうだね」
 B/Bもポケットから携帯灰皿を取り出し、丁寧に片付ける。
「LUKEから聞いたシステム"ALICE"ってのも気になるし」
「"ALICE"?」
 聞いたことのない単語に、スネークが聞き返す。
 うん、とB/Bが頷いた。
「そっちは聞いてないの?なんか、メタルギアに組み込まれたシステムらしいよ」
「そうか‥‥」
 それを聞いて、少し考え込むスネーク。
 ややあって、それならとスネークは口を開いた。
「俺はメタルギアのことを調べる。お前はその"ALICE"とかいうやつのことを調べてくれ。何か分かったら無線で知らせる」
「‥‥手分けして調査するって訳ね。いいよ」
 どうせ目的は同じなのだから、手分けした方が手っ取り早い。
 軽い返事でOKを出すと、スネークがそれは助かる、と答えた。
「何かあったらそっちも連絡を頼む。無線の周波数は141.80だ」
「了解。俺の周波数は140.48だから」
 そう言うと、B/Bはちら、と部屋の外の様子を伺った。
 巡回の気配も感じられず、今なら出ても大丈夫だろう。
 「それじゃ、行こうか」と言いかけ、B/Bがぎょっとしたように手元を見た。
「ちょ、ちょっと‥‥何やってんの?!」
 いつの間に取り憑いたか、右手に握った銃に、ヒトダマがすりすりしている。
「さっきはよく分かんなかったんですけどぉ、よーく見たらFive-SeveNじゃないですかぁ、それも新モデル、この凶悪そうなフォルム、小型ながらも20発装填できる性能、たまらないですぅ」
「いや、それはいいから離してよ」
「ああんもうちょっと触らせてくださいよぅ〜」
 銃器が大好きなヒトダマにとって、新モデル(市販流通モデル)のFive-SeveNは興味の的だったらしい。確かにスネークもFive−SeveNは所持しているのを知っているが、一般には流通していない旧モデルの方である。だから新モデルに興味をそそられたらしい。
 言っても離れないヒトダマに業を煮やし、思わずB/Bが振りほどこうと腕を振った。
「お、おいそれは‥‥!」
 やめろ、といい掛けた瞬間、かすかな音と共にヒトダマが軽く吹っ飛んだ。
 スネークとB/Bのちょうど真ん中に墜落するヒトダマ。
「‥‥げ、」
 自分の手の中にあるFive-SeveNとヒトダマを交互に見比べるB/B。
 ヒトダマの眉間にはぽっかりと穴が開いている。
「だから言わんこっちゃないと‥‥」
 呆然と立ちすくむB/Bを尻目に、慣れた様子でポーチからバンデージを取り出すスネーク。
 仰向けに転がっていたヒトダマが、もぞもぞと体を震わせた。
「‥‥よっこらしょっと」
 間の抜けた声を上げて体を起こし、眉間の穴に手を当てるヒトダマ。
 それから、んべっと銃弾を吐き出す。
「あはは〜また撃たれちゃいましたぁ〜」
「また、じゃないだろうこの馬鹿もんが」
 後ろから、スネークがぽこん、とヒトダマの頭をはたく。
「だ‥‥大丈夫なの?」
 ヒトダマが動いたことで硬直が解けたか、B/Bが恐る恐る尋ねる。
「こいつは霊体だから銃弾くらいでは死なん」
「そ、そう‥‥」
 デコに大きく×の字にバンデージを貼ったヒトダマを見て、ふうと息をつく。
「だからお前は知らない人間の武器には勝手に触るなと言ってるだろうが」
「ああんだって新モデルのFive-SeveNなんて早々お目にかかれないですよう」
 あのなあ、と呆れ切ったスネークの声。
 それに気を取り直し、B/Bがそれじゃ、とドアに手をかけた。
「俺は先に"ALICE"について調べてくるよ」
 そう言い、ドアを開ける。
 その背に、スネークの声が投げかけられた。
「おい、若いの!名前は?」
 一瞬、その場に漂う沈黙。
 B/Bが、ゆっくりと振り返った。
「Bloody Blue‥‥B/Bでいいよ」
「Bloody Blue‥‥コードネームか?」
「本名は‥‥普通だと思うよ」
「そうか‥‥いつか聞ける時が来るかもな」
 その声を背に、B/Bは部屋を出た。

◇◆◇ ◇◆◇


 素早いキー操作でNATに頼まれたウィルスを組んでいくオタコン。
 しかし、これが本当に効くのかと問われれば自信がない。
 確かに普通のPC相手なら、BIOSまで破壊して再セットアップすらできない状態にすることもできるだろう。
 だが、相手はどうやら自我のあるAI。NATの報告によれば彼女の必殺技の「神の光」と対等に渡り合える「魔の闇」を習得している。
 能力としては五分五分かもしれないが、それでも分が悪い。
 仕上げに数行を打ち込み、オタコンが「完成したよ」とNATに声を掛けた。
《ありがと。すぐに転送して》
「了解。でも無茶はするんじゃないよ」
《分かってるって》
 NATのその返答に、幾許かの不安を抱えつつも、オタコンはウィルスを転送した。
(‥‥無事に戻って来るんだよ)
 まかり間違っても自分が感染しないようにと祈りつつ。

 電脳空間内で、NATとLUKEは激しく斬り合い、時には手持ちの能力をぶつけ合っていた。
 戦況としては五分五分。
 「マスター」によって生み出され、なおかつ「マスター」の意思どおりに働かないが故に失敗作としてシリアルナンバーを与えられなかったNATだが、「過去に葬ってきたシリアルナンバーを持つオリジナルの能力をコピーすることができる」能力を持っている分、本来なら有利だっただろう。
 他のシリアルナンバーズの能力ならLUKEの攻撃を撹乱することだってできたはず。
 だが、あのアーセナルでのNAT-EEとの戦いでコピーしてきた特殊能力データは殆ど損失し、残っているのは「神の光」とあらゆる攻撃を遮断し、零距離で展開すれば相手を吹き飛ばすこともできる「シールド」(しかしデータが一部壊れているため万能ではない)位。
 そのため、LUKEと互角の状態になってしまったのである。
 LUKEが「魔の闇」さえ習得していなければ、と思うがそんなどうでもいい内容のシミュレートはするだけ無駄である。
 しかしこのLUKEというAIは本当に不思議な動作をする。
 言い変えれば、動きが「人間くさい」。
 LUKEも「シールド」に似た特殊能力データを所持しているにもかかわらず、動作で回避したり射程など関係ない「魔の闇」を接近して発動させたり、通常のプログラムならありがちな「パターン」がない。
 どちらかというと人間の「気まぐれ」に近い行動でNATを惑わせ、わずかずつではあるが彼女にダメージを与えている。
(早く決着をつけないとまずいかな)
 ダメージを受けた部位から、データ片が解れるように流れ出していく様子をちらりと見ながら、NATが唇を噛み締める。
 LUKEもノーダメージというわけではない。
 ダメージの量だけを見れば、LUKEの方が多いくらいである。
 それでも全く有利になったという感じがしない。
「次は何?今までのパターンを分析したら『神の光』じゃないの?」
 冷静な面持ちで、LUKEがそう声を掛けてくる。
 ―――ばれていた。
 LUKEの言う通り、次の攻撃は「神の光」にしようとデータ片を収束させていたところである。
「自我があるとはいえ、やっぱりプログラムだね。攻撃のパターンが決まってる」
「‥‥っ」
 すっかり読まれていた、ということか。
 攻撃パターンを変えなければLUKEに読まれ、こちらが不利になる。
 どうしようと考えたその時、オタコンからウィルスが完成したとの連絡が入った。
 「すぐに転送して」と頼むと、すぐにウィルスのデータが転送される。
 即座にデータを書き換え、トリガーを作成し、銃をイメージして電脳空間に発現させる。
「これでどう!?」
 迷うことなくい引き金を引く。
 ―――と、ほぼ動じにLUKEが防御壁を展開し、着弾を阻む。
 その防御壁が消えた時、NATは呆然とした。
「な―――」
 LUKEの手に、全く同じ物が握られている。
 にやり、とLUKEが笑った。
「甘いね」
 銃口を迷うことなくNATに向けてLUKEが言う。
「どこをサーバとして使ってると思ってるの?俺が間借りしてる衛星だろ?」
「あ―――」
「君が組み立てたデータは俺も使用可能なんだよ。さすがに『神の光』は特殊らしくてコピーできないけどね」
 すっかり失念していた。
 LUKEも自分と同じ衛星を使用しているということを。
 これでは迂闊にこのウィルスを使うことができない。
 完全に追い込まれたような状況になり、NATは悔しそうに歯軋りした。

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後半短くてスマソ。
暫くは現実世界サイドの方がメインになるので仕方ないか。

ちなみにこのVP世界はかなり混沌としている気がする・・・


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posted by 日向 夏樹 at 15:18| Comment(0) | ALICE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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