2014年07月06日

天使の福音 3(終)

福音第3回。
スカイアイは爆発すればいいと思うんだ。
んでもって、今回スカイアイの過去が明かされます。

まあ支部でネタバレしてるんだがな。

でもこの解釈はあってもいいと思うんだ・・・

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2014/07/06 UP

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「……で」
 モビウス1の目が赤く腫れ上がっているのを確認したスカイアイがため息をつく。
「少しは落ち着いたか?」
 小さく、モビウス1が頷く。
「君がマイハニーと何を話していたかは知らないし聞くつもりもない。それでも、NATのことは信じてやるべきだ、とは言わせてもらうぞ」
「ああ、分かっている」
「それにしても、君のそのPTSDは本当にNATのことだけを引きずっているのか?確かに戦闘機は他の戦闘機を墜とすのがメインだからあまり実感していないだろうが実際はその中のパイロットを殺しているんだぞ?無意識下で関係していることも、」
「AWACSから高みの見物をしておいて、それか?」
 スカイアイの言葉に、思わずモビウス1が反論する。
「トリガーを引くこと、それは敵を殺すということくらい理解している。理解できていなければそれはリアルとヴァーチャルを一緒くたにしたゲーマーだ」
 それは割り切っている、とモビウス1は続けた。
「……そうか、」
 それならいいんだが、と言ってからスカイアイが少し考える。
 これは言ってもいいことなのだろうか、と迷っているようにも見えた。
 少し沈黙が流れ、それからスカイアイが口を開いた。
「君は知らないだろうが、俺も戦闘機での実戦経験はある」
 不意の告白に、モビウス1がえっ、と声を上げる。
「……もう10年か……」
「10年?」
 モビウス1が記憶の糸をたどる。
 大陸戦争は数年の出来事だ。それ以前、戦争があったとすれば―――
「……ベルカ戦争……」
 ちょうどモビウス1がハイスクールに通っていた頃だった。
 遠い海の向こうのある国で戦争が起こった。
 その国は自国の領土で7つの核を使うという愚行を行った。
 その国―――ベルカで、スカイアイは戦っていたのか。
 いや、彼はベルカが存在していた南オーシアの人間だったのか。
 スカイアイが頷く。
「ベルカ戦争が始まる頃だったか。俺はハイスクールを卒業してオーシアをバイクで回っていた。その時たまたま見たドキュメンタリーで英雄と呼ばれたパイロットを知って、傭兵になった。養成学校を出てウスティオ軍に参加してな」
「ちなみに、TACネームもスカイアイだったとか」
 思わず、そんなことを聞いてしまった。
 まさか、とスカイアイが笑う。
「当時は何故かイニシャルがTACネームだったよ」
 そう言ってから、遠くを見るような目をする。
「そのウスティオ空軍の中にな、とんでもない才能を持ったパイロットが二人いた。数字を全部合わせると獣の数字になったのは偶然か必然か―――その隊の名前は『ガルム隊』と言った」
 ガルム―――北欧神話に登場する冥界の番犬。
 そんな不吉な名前の隊をよく作ったな、と思う。
「そのガルム隊がベルカに占領される寸前だったウスティオを救った。君みたいにな」
「俺みたいに?」
 ああ、とスカイアイが頷く。
「最初はそこまで期待されていなかった傭兵部隊、だが出撃の度に見送りが増えていったよ」
 その勇姿を見届けるために。
「君を見ると、ガルム隊の二人を思い出すよ」
「スカイアイ、まさか、お前……お前、ガルム隊に?」
 スカイアイの口ぶりだと、彼がガルム隊の一人であった、としか考えられない。
 彼もまた、自分と同じく国を救う運命を背負わされていた、ということなのだろうか。
 スカイアイが、笑って首を振った。
「そんな、初陣でいきなりガルム隊に配属されるか。はじめ、ガルム隊にいたのはサイファーとピクシーだった。まあピクシーの方が技量は上だったにも拘らず二番機についていたがな」
 知らず、モビウス1はスカイアイの話にのめり込んでいた。
 自分がパイロットを目指した理由―――ベルカ戦争を駆け抜けた英雄に憧れたことが全ての始まりだった。
 その、英雄を知る人物が、目の前にいる。
「サイファーもすごかったが、ピクシーはもっとすごかったな。俺が入隊する前だったが、機体の片翼を失っても基地に帰還したらしい」
「そんなことが……」
 ありえない、と呟いたがそれをスカイアイは笑って否定した。
「まあ、常識的に考えれば一つでも油圧が死ねば飛び続けるのは難しい。それでも、ピクシーはやってくれた。それ以来『片羽の妖精』と呼ばれたし乗機の右翼は赤くペイントしていて、目立っていた」
 そこまで言ってから、しかし、と続ける。
「しかし、あいつはウスティオを裏切った。世界を変える、と言ってクーデター軍に参加したんだ」
 そうだ。クーデターの話は知っている。
 V2を使い、社会を崩壊、退化させ新しい平和を作り出そうとした、と。
 終戦後のドキュメンタリーで聞いた気がする。
「そこで、だ。ピクシーが抜けた席を俺が埋めることになった」
 ごくり、とモビウス1が唾を飲み込む。
「つまり……」
 ああ、とスカイアイが頷いた。
「俺が後任のガルム2だ」
 まさか、信じられない。
 歴史を動かした張本人が、目の前にいる。
 自分と同じく、国を、大陸を救った英雄が。
「……といっても、最終的にピクシーを止めたのはサイファーだったがな。俺はピクシーに墜とされたよ」
「だが……」
「ぎりぎりで脱出したが、サイファーとピクシーの一騎打ち、いや、違ったかもしれないな。それは見届けることができなかった。気がつけば、ベルカが使った核の爆心地に、ピクシーに連れて来られていた」
 二人のガルム2。
 ちょうど、アンジェラがミートパイを持って来室し、リビングのテレビの音声が聞こえてくる。
 偶然だろうか、テレビでは今回の大陸戦争と10年前のベルカ戦争についてのドキュメンタリーが放映されていた。
 といっても、モビウス1は一切の取材を断っていたため彼を知る人物へのインタビュー程度だっただろうが。
《……この映像はあいつも見るのか?だったら伝えてくれ》
 ドアの隙間から、そんな声が聞こえてくる。
 それを聞いたスカイアイが驚いたように立ち上がった。
 まさか、とリビングに駆け込む。
 それを追ってモビウス1もリビングに入り、そこで銃を抱えた一人の男を見た。
「ピクシー……」
 掠れた声でスカイアイが呟く。
 これがピクシー?とモビウス1もテレビを凝視する。
 画面の向こうの男―――ピクシーが、笑んでみせた。
《よう、相棒。まだ生きているか?……ありがとう、戦友。またな》
 自分にではないはずだが、自分に宛ててそう言われたような気がしてモビウス1はどきり、とした。
 まるでNATが、ピクシーの口を借りてそう言っているような、そんな錯覚を覚える。
 スカイアイを見ると、彼は彼で複雑な面持ちをしていた。
「馬鹿野郎……遅すぎる……」
 遅すぎる?とモビウス1が尋ねる。
 アンジェラがそっとスカイアイに寄り添い、抱き寄せる。
「サイファーは……俺もどうなったかは知らん。ただ……ウスティオは、雇っていた傭兵を口封じするという話をピクシーから……」
 ドキュメンタリーのナレーターが、最終的に円卓の鬼神―――サイファーの足取りを追うことはできなかった、と告げる。
 生きているのかそれとも本当に口を封じられたか、それすらも分からない。
「俺は、サイファーに伝えたかった……ヴァレー基地に帰るな、と……」
 それすらできなくて、結局自分は生き残ってしまった。
「……パトリック、」
 アンジェラがスカイアイを呼ぶ。
「大丈夫よ、きっとあの人は生きてる」
 そうだといいが、とスカイアイが呟く。
「あとは、アンジーも知っている通り俺にはヴァレー基地に恋人がいた。実はアヴァロンダムのV2発射阻止のミッションが終わった時にプロポーズしようと思ってな、花束も用意していた」
「おい、それ……死亡フラグ……」
 思わずモビウス1がつっこんだ。
 全く同じことをNATにしていた彼が、だ。
 ああ、と頷くスカイアイ。
「それをサイファーに言った30秒後に墜とされたよ」
「……だから言わんこっちゃないと」
 ですよねー、とアンジェラと納得してしまう。
 人の話を最後まで聞け、とスカイアイは少しむくれて見せた。
「結局、俺は基地に帰還できず、彼女ともそのままおさらばだよ。だがそのおかげでマイハニーと出逢えて、今があるんだがな」
「そうか、」
「あ、いや、別に新しい女作って結婚しろ、という話じゃないぞ?俺も戦争の経験くらいあると言いたかっただけだぞ?」
 その言葉にモビウス1がくすり、と笑った。
「分かっている。俺は、もう少し考える。あいつが生きていると信じるのは怖いが、前向きになれるように少しは努力する」
「そうだ、その意気だ」
「……ところで二人とも、せっかくのミートパイが冷めてしまうわ。早くお召し上がりになって」
 ちょうどいいタイミングでアンジェラが話を切り上げる。
 そうだな、とスカイアイが頷き、モビウス1をテーブルに誘う。
 ミートパイを食べながら、モビウス1とスカイアイは他愛もない話を続けた。
 今はNATのことを考えないでいようという配慮。
 いや、信じなければいけないのだと。
 ピクシーの言葉が蘇る。
 まだ、生きなければいけない。
 それが、わずかな希望をつなぐことになるから。

―――Fin.


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PJスカイアイは需要がありませんかそうですか。
だけどオレはPJスカイアイを推すね!

んでもってZEROのEDが・・・
まあそんなもん。

次回は何をUPしますかねえ・・・
エロSSはちょっとねえ・・・


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posted by 日向 夏樹 at 00:22| Comment(0) | 天使の福音(AC04二次) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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