2014年07月07日

魂の所在 1

さて、どんどんUPっていきますよー

・・・と言いながら、何と今回は!

完全オリジナル(二次創作ではない)SSになります!
学校に行ってた頃、小説書くのが趣味という子と知り合い、読ませてもらったお礼SSですが。

・・・その子、ファンタジーとかメルヘンが好きな子だったはずなのね。
なのに・・・

SFホラー(!?)書いてしまいました。
ホラーといえるかどうかも分からないけど。
なんかざわざわしてくれたらうれしいなと思います。

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2014/07/07 UP

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魂の所在

 生物に宿る魂とは一体何であるのか。
 それを解明することは生命を作りだした神を冒涜することであり神という存在を地に堕とす行為である。

―――とある哲学者の手記より

 科学、とりわけ生物学の進歩により地球上で確認されたほぼすべての生物のゲノム解析が完了し、一部の絶滅種、絶滅危惧種も遺伝子操作によって再生されるようになりどれほどの時間が経過したであろうか。
 生物学は次のステージへと移行しつつあった。それは哲学、神学、倫理学を巻き込んだ大規模なプロジェクト。生物の「生命」の分野に踏み込んだ研究はさらには「魂」を解明しようと突き進んでいた。国もそれを容認し、「生命」や「魂」が完全に解明された暁には生物は「死」の束縛から解き放たれる、「死」という概念は覆される、誰もがそう信じる、信じさせられる時代。
 一部の学者はヒトが「生命」を支配することに疑問と危惧を持ち、この研究を中止するよう、再三政府に訴え続けていた。それでも、研究は止まることなく少しずつ、着実に進んでいた。

 研究に、いかなる犠牲を払っても構わない、とでも言いたいかのように。



1.目覚め

 カーテンから差し込む朝日に、「僕」は目を開けた。
 病室の天井は相変わらず白く、点滴のパックをぶら下げる金具はぶらぶらと揺れている。そこにぶら下がっていたパックは数日前から外され、身動きは自由にできた。
 無理もない、「僕」は今日退院する。交通事故に遭い、入院を余儀なくされていたが幸い怪我らしい怪我もなく、暇を持て余していたくらいだ。ただ、気になったのは殆ど怪我がなかったのに入院期間が長引いた理由だ。
 医師は「頭を強く打ち、脳に異常がある可能性がある」と説明したが意識はしっかりあり、思うように動けないということもなかった。とはいえ、やはり事故の影響だろうか、事故前後の記憶が全くない。それで医師も検査を繰り返したのだろう。
 しかし今回の事故には不可解な点が多い。トラックに衝突したという話だったがそれなら大怪我をしていても不思議ではない。ほぼ無傷、ということが奇跡に近い。だからだろう、この病院―――とある医科大学の附属病院である―――で様々な検査を受ける羽目になったのは。事故前後の記憶がなかったのもその検査の一因となっている。
 カーテンを開け、ぼんやりと外を見る。季節は春で、河川敷の桜が満開になっている。時々見舞いに来てくれた友人と花見もいいな、だが今から企画したのではもう遅いか。そんなことを考えながら朝食を待つ。そのうちに同室の入院患者も起床し、廊下も徐々に騒がしくなる。
 看護師が検温に来て、「今日退院ですね」と声をかけてくる。退院と言っても、まだ月に数回の検査が残っているためこの病院にはちょくちょく顔を出すことになるだろう。そう告げると「それならシュークリームでも持ってナースセンターまで遊びに来てくださいよ」と冗談が返ってくる。確かこの病院は医師、看護師等に差し入れを持っていくことは禁止だったはずだが、と思わずまじめに考えてしまうが自分の回復を喜んでいるのだろう、と解釈する。
 そんな話をしているうちに朝食が配膳され、看護師が病室を出る。
 朝食を食べ終え、「僕」は荷物をまとめた。退院手続きを行い、支払いの請求書を受け取り、数人の看護師が見送る中「僕」は退院した。

 「僕」の退院を知ったタカユキが「僕」のアパートに押しかけてきたのは帰宅した直後だった。相変わらず情報が早い奴だ、と思う。彼は「僕」の入院中もちょくちょく差し入れを持って見舞いに来てくれた。他の友人も何度か来たが、タカユキほど頻繁に来た友人はいないだろう。
「相変わらず湿気た面してるな。ちょっと顔出せ」
 タカユキの発言は相変わらず唐突で、意図がつかめない。「僕」が戸惑っていたのをすぐに察したのだろう、次の言葉で説明をしてくる。
「お前の退院を祝ってな、飲み会をやろうということになったんだ。お前が来ないと話にならないから顔出せ。酒は呑んでも呑まれるな、だ」
 最後の一言が余計な気がするが、「僕」の退院を喜んでくれていることはすぐに分かった。元々友人と飲みかわすことは嫌いではなく、友人たちが喜んでくれているのなら参加するべきだろう。
 そう思い、「僕」は頷いて財布を手に取った。

 よく行く居酒屋に、「僕」やタカユキ、それから数人の友人が集まっていた。全員がとりあえず生中を注文し、それから思い思いの酒の肴を注文する。
 「シシャモのから揚げ」を「僕」が注文したときだった。
 タカユキの顔色が変わる。
「あれ、お前シシャモなんて食うのか?」
 タカユキの言葉に、メニューを閉じようとした「僕」の手が止まる。他の友人も、意外そうな顔をして「僕」を見ていた。
「お前、いつもレバー串頼むだろ、好物だって言ってただろうに」
 その言葉に「えっ、」と声を上げる「僕」。レバー串なんて、全く好物ではない。むしろ嫌いな部類に入るだろう。「僕」のその反応に、タカユキがまあ、と呟いた。事故のショックで好みが変わることもあるのだろう、と解釈したのだろうか。それにしても、自分がレバー串が好みだとは信じられない。昔からシシャモが好物だったはずだ。しかし、記憶の糸を手繰ると確かに「僕」はレバー串を好んで食べていた、ということに気付く。嘘だろう、レバーのどこがおいしいのだ、と腑に落ちなかったがそんなことを考えている間に生中が届き、乾杯する。
「そういえば、お前、後遺症はないのか?」
 不意に、友人の一人がそう尋ねてくる。タカユキは看護師から詳しい説明を聞いていたらしく「僕」の入院中にそのあたりの話をしてくることはなかったが、気になっていたのだろう。「僕」が後遺症も何もない、と答えると友人が不思議だよな、と呟く。
「トラックにはねられた割には無傷とか奇跡がどれだけ重なったら起こるんだよ。いや、お前が死んでくれたらって思ったわけじゃないんだがな、本当にトラックにはねられたのか、なんてな」
 そうだ。確かにトラックにはねられてほぼ無傷というのは奇跡だろう。といっても事故前後の記憶は全くなく、トラックにはねられたというのも医師にそう言われたからであって「僕」は全く覚えていない。
 そこまで考えてから、「僕」はあれっと思った。
 事故前後の記憶―――いや、事故の数日前の記憶が全くない。「僕」が覚えているのは事故の数日前、とある持病の検査で病院―――これも入院していたところと同じ医科大学の附属病院だ―――に行ったところが最後だった。そこから事故まで、自分は一体何をしていたのだろうか。確かに事故前後の記憶が抜け落ちるということはあるらしいがそれでも数日の記憶がないのは何かがおかしい。
 シシャモのから揚げをかじりながら、「僕」はなんとなく噛み合わない自分の記憶について考え込んでいた。

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日向節は相変わらず炸裂しておりますが色々と挑戦はしています。
「僕」視点の語り、というか一人称で書くことはたまにあるのですが、それでも色々とね・・・

なんとなくざらざらとした作品に仕上げたような、そうでないような・・・

SFホラーなんてリングシリーズとかブレイン・ヴァレーとかパラサイト・イヴ(どれも古い)辺りで完成されてるんだよ!たぶん・・・


posted by 日向 夏樹 at 00:00| Comment(0) | 魂の所在 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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